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雪の華~ Memories~【彼氏いない歴31年の私】
第3章 LessonⅢ 悪意ある噂
 恥ずかしさと屈辱に頬が熱くなり、涙が溢れそうになる。滲んできた涙をまたたきで散らし、下唇を故意にキュッと噛んだ。あまりにも強く噛みしめたせいか、口の中に血の味がひろがる。
 あまり他人に逢いたい気分ではなかったので、いつものようにエレベーターではなく、階段を使った。流石に五階で息切れしたため、そこからはエレベーターに乗ることにした。
 五階の廊下を歩いていると、向こうから歩いてくる人物と危うく衝突しそうになった。考え事をしていたのがまずかったようだ。
「ごめんなさい」
 慌てて謝ると、相手はギョッとしたように飛びすさった。何とその人物は岩田貢であった。
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