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雪の華~ Memories~【彼氏いない歴31年の私】
第3章 LessonⅢ 悪意ある噂
「ほ、本間さん」
 情けなくも声が裏返っている。社内の窓口である受付嬢が知っていて、あれほど露骨な反応が返ってくるのだから、既に〝噂〟は社員すべてが知っているはずだ。
 よくもまあ、昨日の今日で、そこまで広められたものだと敵ながら、あっぱれと褒めてやりたくもなる。
「おはよう」
 せめてここは威厳を保ちたいと受付でしたのと同じように、先輩らしく鷹揚に構える。
「おっ、おはようございます」
 岩田は顔面蒼白でぺこりと頭を下げると、狩人を前にした臆病な野ウサギのように去ろうとする。
 少しく後、輝の凜とした声が廊下に響き渡った。
「岩田君」
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