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雪の華~ Memories~【彼氏いない歴31年の私】
第3章 LessonⅢ 悪意ある噂
はいと、応える声がかすかに揺れた。輝を見つめる部長の双眸に、いつもの厳しさはなく、むしろ娘を見守る父親のような労りの色があった。
「私が好きな諺にこういうのがあるんだよ。本間君。天が遠くにあるからと甘く見るな。これがどういう意味が君なら判るだろう? 良いことも悪いことも天はすべてお見通しだ。この程度の悪事ならバレないと高をくくっていても、天はちゃんと見ているし、君のように普段から人眼につかないところで一つ一つ積み上げていっている勤勉で善良な人間のこともな」
続いて部長は語った。以前から、こういう悪質なメールは割と再々、幹部たちに送りつけられたのだという。大抵は棄てアドを使い、内容もそのときによりまちまちだった。○○課の誰々が不倫しているとか、○○部の部長が接待費を水増しして貯めた金でマイホームを購入したとかで、いずれもが調べてみても事実無根のものばかりだった。
「私が好きな諺にこういうのがあるんだよ。本間君。天が遠くにあるからと甘く見るな。これがどういう意味が君なら判るだろう? 良いことも悪いことも天はすべてお見通しだ。この程度の悪事ならバレないと高をくくっていても、天はちゃんと見ているし、君のように普段から人眼につかないところで一つ一つ積み上げていっている勤勉で善良な人間のこともな」
続いて部長は語った。以前から、こういう悪質なメールは割と再々、幹部たちに送りつけられたのだという。大抵は棄てアドを使い、内容もそのときによりまちまちだった。○○課の誰々が不倫しているとか、○○部の部長が接待費を水増しして貯めた金でマイホームを購入したとかで、いずれもが調べてみても事実無根のものばかりだった。