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雪の華~ Memories~【彼氏いない歴31年の私】
第3章 LessonⅢ 悪意ある噂
「部長」
輝は両手を膝の前で握り合わせ、部長の前に佇んだ。ふと気づくと、総務課の片隅の机から、紘子が心配そうなまなざしをくれていた。
大丈夫というように紘子に軽く頷き、輝はまた部長に向き直った。
「例の噂のことですが」
と、部長は〝もう良い〟とでもいいだけに手を振った。
「君は気にするには及ばんよ」
「しかしながら―」
「それとも、君は申し開きを改めてしなければならない必要でもあるのかね? この私が良いと言っているんだ。君は何もなかったような顔でいつもどおりにふるまっていれば良い。むしろ、つまらない取るに足らない噂を気にして、日常の業務に差し障りが出たとすれば、そのことの方が問題だぞ」
輝は両手を膝の前で握り合わせ、部長の前に佇んだ。ふと気づくと、総務課の片隅の机から、紘子が心配そうなまなざしをくれていた。
大丈夫というように紘子に軽く頷き、輝はまた部長に向き直った。
「例の噂のことですが」
と、部長は〝もう良い〟とでもいいだけに手を振った。
「君は気にするには及ばんよ」
「しかしながら―」
「それとも、君は申し開きを改めてしなければならない必要でもあるのかね? この私が良いと言っているんだ。君は何もなかったような顔でいつもどおりにふるまっていれば良い。むしろ、つまらない取るに足らない噂を気にして、日常の業務に差し障りが出たとすれば、そのことの方が問題だぞ」