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雪の華~ Memories~【彼氏いない歴31年の私】
第4章 LessonⅣ 忍ぶれど
―どうしたの? 
「お願い、来て。私、一人ぼっちで」
 輝が尋常な精神状態であれば、まず一度逢ったきりで殆どお互いについて知らない吉瀬に電話することもなかったはずだ。しかし、この時、輝は完全に我を見失っていた。
 電話の向こうで息を呑む気配がした。当然だ。初対面にほぼ等しい女からいきなり電話がかかってきて、〝すぐに来て〟と言われて、当惑しないはずがない。
 が、吉瀬の判断は速かった。受話器を通して聞く輝の声音がそれだけ切迫したものに感じられたのかもしれなかった。
―判った、今から行くから。で、どこにいるの?
 吉瀬は輝の居所を聞くやいなや、すぐに電話を切った。
―良いかい、必ずそこにいるんだよ。
 と、くどいくらい念を押して。
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