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雪の華~ Memories~【彼氏いない歴31年の私】
第5章 LessonⅤ キャッツ・アイにて~孤独なピアノ~
 幾ら彼を好きでも、あからさまに拒まれてなお側に付きまとうほど恥知らずではないつもりだ。輝が最も怖れるのは聡の側にいられなくなることだが、それ以上に怖いのは彼に嫌われ疎まれることであった。
 嫌いだ、側にいて欲しくないと言われ、なおしつこく付きまとえば、優しい聡でも輝を鬱陶しく思うのは当たり前だろう。そんなあれこれを考えれば、自分の方から結婚や将来の話を持ち出すのは愚かなことに思える。
 また、輝自身、今はまだ聡と付き合い始めたばかりで、彼との時間をもっと積み重ねてゆきたいと考えている。一緒に過ごす時間を増やし、二人だけの想い出を積み重ねてゆく中に、自ずと見えてくるものもあるだろうし、その中には二人の未来も含まれているかもしれない。
 今はただ、彼の側にいたい、いられれば良いというのがいちばんの本音に近かった。
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