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雪の華~ Memories~【彼氏いない歴31年の私】
第5章 LessonⅤ キャッツ・アイにて~孤独なピアノ~
「もちろんよ。急いだから少し編み目が不揃いになってしまったけど、良かったら使って」
 聡は嬉しげに顔を綻ばせ、リボンを解きラッピング袋を覗いた。
「おう、これは凄い」
 彼は早速、マフラーを自分の首に巻いている。ブラウンのマフラーには〝A〟と赤で刺繍が入っている。
「これを君が編んだの?」
「ええ、いかにもお手製って感じで、申し訳ないんだけどね」
「とんでもない。嬉しいよ、ありがとう」
 聡が心底嬉しげに笑っているのを見て、輝もまた心が弾んでくる。
 彼はしばらく輝の顔を見つめていた。輝は微笑み、また視線を窓の外に戻す。二人を乗せた観覧車はゆっくりと地上に向かって下降している最中だ。
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