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雪の華~ Memories~【彼氏いない歴31年の私】
第5章 LessonⅤ キャッツ・アイにて~孤独なピアノ~
 聡が小箱からそっとリングを抜き取り、輝の左手の薬指に填めた。サイズを特に訊ねられた記憶はないのに、そのリングは誂えたようにぴったりだ。
「サファイアね?」
「そう、これでも、何が良いかと迷ったんだ。本当はダイヤモンドを贈りたかったんだけど、いきなりじゃ、かえって迷惑かなと思って、店の人に相談したら、誕生石なんてお守りにもなって良いって勧められてさ」
「深い蒼色がとても綺麗。ありがとう、大切にするわ」
 輝は微笑み、大切そうに指輪を撫でた。
「私も贈り物があるのよ」
 傍らに置いていた紙袋から例のラッピング袋を取り出し、聡に渡した。
「メリー・クリスマス」
「え、俺も貰えるの?」
 聡は予期していなかったようで、愕きに眼を見開いている。
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