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雪の華~ Memories~【彼氏いない歴31年の私】
第1章 LessonⅠ 憂鬱な夜には
その夜、輝はなかなか眠れなかった。二階の自室のベッドで幾度も寝返りを打ちながら、輝は初めて身に纏うウェディングドレスに想いを馳せた。その日、自分が着るのは、どんなデザインのドレスなのだろう。飾り気のないシンプルなもの、それとも、流行の可愛らしいガーリーな雰囲気のドレス?
両方のドレスを着た自分を想像してみようとしたけれど、ドレスそのものが具体的に思い浮かべられないので、土台無理な話だった。それでも、人生で初めて花嫁になれるのだと考えれば、心は浮き立った。
階下はすっかり静まり返り、両親はもうとうに寝んだらしい。輝の父親は長年、銀行に勤務していたが、今春、還暦を機に定年退職した。次の就職も既に決まっているが、一年は自宅でのんびりと過ごすようだ。
両方のドレスを着た自分を想像してみようとしたけれど、ドレスそのものが具体的に思い浮かべられないので、土台無理な話だった。それでも、人生で初めて花嫁になれるのだと考えれば、心は浮き立った。
階下はすっかり静まり返り、両親はもうとうに寝んだらしい。輝の父親は長年、銀行に勤務していたが、今春、還暦を機に定年退職した。次の就職も既に決まっているが、一年は自宅でのんびりと過ごすようだ。