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雪の華~ Memories~【彼氏いない歴31年の私】
第2章 LessonⅡ 心ときめく記念日
 そういえば、輝には〝僕〟なのに、由佳里には〝俺〟だ。まあ、輝はあくまでも客として対しているから、営業用の呼称なのではあるだろうし、由佳里は同じ仕事仲間として気を許しているからの言葉の違いではあるだろう。
 それでも、オーナーの態度が由佳里と自分では全然違うことは、輝の心を微妙に傷つける。何なの、この心の痛みは―。
 輝には訳が判らない。
 またも物想いに耽りそうになっている輝の耳をオーナーの声が打った。
「じゃあ、撮影を続けましょうか」
 それからしばらくまたシャッター音が響き、およそ三十分後、撮影は終了になった。
「今、撮った写真がどんな感じか見たいですよね」
 オーナーはそう言うが早いか、片隅のスチール製の机に走っていった。ノートパソコンが置いてあり、しきりにその画面を覗き込んで操作している。
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