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遅咲きのタンポポ
第9章 はじめて
口元に軽く握った手を当て、微かに震えて考え込む私に、武井さんが気づく。

「そんな高いもの買わせようなんて思ってないよ?
手持ちがないなら俺が出すから。それで沙織ちゃんからってことにすればいいじゃない。」

バレたっ…!
どうしてこの人はそんな私の顔色だけで察してしまうんだろう。
嬉しいような恥ずかしいような…、うん、恥ずかしい!

「でも、それじゃ手土産の意味がないじゃないですか!それはダメです」

まさかエシレのバターケーキを自腹で買う日が来ようとは夢にも思わなかったけど、でもこんな機会でもなきゃ絶対買わないもん。

武井さんは苦笑しながら

「頑固だなぁ、相変わらず…やっぱり2年経っても反応が新鮮。」

それは、私がド庶民ってことですか⁉︎

そりゃ男性が払って当然、プレゼントして当然、な環境で育ったら、私みたいな反応は新鮮だろうけど…なんだか住む世界が違うんじゃないか、って不安もある。
彼女にしてくださいなんて言って、私なんかに務まるんだろうか…
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