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素直になれなくて
第3章 田坂くん
「悠里ちゃん!」
飯島家具へ入った途端、若社長は声を掛けてくる。
この前とは、全く違う対応…腹立つ……
浅井は心の声を押し殺し、にこやかに笑う。
「先日は、失礼致しました。」
悠里は、丁寧に頭を下げた。
「体調はもう大丈夫なのかい?」
「ええ、もうすっかり。」
「それは良かった。」
若社長は満足気な笑顔を見せた。
「若社長、三軒茶屋の店舗の家具の件なんですが……」
悠里は、スマートに若社長のチャチャを交わしながら、納期や発注の件の話を進めた。
「では、納期は来月の頭で、個数はこの発注書の通りでお願いします。」
「わかったよ。この発注書、何時もと少し書式違うね。」
細かい所に気がつくな。面倒な奴だ。浅井は笑顔を作ったまま、心の中で呟いた。
「すみません。新人に頼んで作らせたので。同じ書式で作り直しましょうか?」
「いや、構わないよ?ちょっと気がついただけだから。」
「新人って、この前の顔怖い人?」
悠里は浅井を見た。怖い人って誰?
「はい、田坂が作成しました。」
「そう。書類は見やすかったよって、言ってあげて。」
悠里は、少し戸惑って、若社長に言った。
「何か、お気に召さないことがございましたか?」
「大丈夫だよ。そんなことより……」
そう言って、悠里の手を突然握ってくる。
田坂が居たら、殴りかかってたな。浅井はそう思いながら、目を逸らす。
「正式な契約が済んだし、そろそろ、食事付き合ってくれないかな?」
「お誘いを受けて本当に嬉しいのですが、新店舗の開店に向けて、かなり予定が入っておりまして。」
「忙しいんだね……」
「店舗が無事に開店した際は、ご招待致しますので、是非いらして下さい。」
「悠里ちゃん、躱すの相変わらず上手いね。」
「そんな、躱すだなんて」
悠里は頭を振った。
「若社長のお誘いお受けしたら、若社長のファンの皆様に怒られてしまいそうで。勇気が出なくて。すみません。」
「僕のファン?」
「大変、おモテになってますから。」
「ま、まあね。」
若社長は、ニヤニヤしながら答えた。
「では、私達この辺で、失礼しますね。」
「もう、悠里ちゃん、上手いなあ。」
にこやかに微笑みながら、席を立つ。
「では、また、納品の際にお会い出来ますか?」
「そうだね。」
「またお会い出来るのを楽しみにしてます。」
「わかったよ。お疲れ様。」
悠里と浅井は頭を下げて店を後にした。
飯島家具へ入った途端、若社長は声を掛けてくる。
この前とは、全く違う対応…腹立つ……
浅井は心の声を押し殺し、にこやかに笑う。
「先日は、失礼致しました。」
悠里は、丁寧に頭を下げた。
「体調はもう大丈夫なのかい?」
「ええ、もうすっかり。」
「それは良かった。」
若社長は満足気な笑顔を見せた。
「若社長、三軒茶屋の店舗の家具の件なんですが……」
悠里は、スマートに若社長のチャチャを交わしながら、納期や発注の件の話を進めた。
「では、納期は来月の頭で、個数はこの発注書の通りでお願いします。」
「わかったよ。この発注書、何時もと少し書式違うね。」
細かい所に気がつくな。面倒な奴だ。浅井は笑顔を作ったまま、心の中で呟いた。
「すみません。新人に頼んで作らせたので。同じ書式で作り直しましょうか?」
「いや、構わないよ?ちょっと気がついただけだから。」
「新人って、この前の顔怖い人?」
悠里は浅井を見た。怖い人って誰?
「はい、田坂が作成しました。」
「そう。書類は見やすかったよって、言ってあげて。」
悠里は、少し戸惑って、若社長に言った。
「何か、お気に召さないことがございましたか?」
「大丈夫だよ。そんなことより……」
そう言って、悠里の手を突然握ってくる。
田坂が居たら、殴りかかってたな。浅井はそう思いながら、目を逸らす。
「正式な契約が済んだし、そろそろ、食事付き合ってくれないかな?」
「お誘いを受けて本当に嬉しいのですが、新店舗の開店に向けて、かなり予定が入っておりまして。」
「忙しいんだね……」
「店舗が無事に開店した際は、ご招待致しますので、是非いらして下さい。」
「悠里ちゃん、躱すの相変わらず上手いね。」
「そんな、躱すだなんて」
悠里は頭を振った。
「若社長のお誘いお受けしたら、若社長のファンの皆様に怒られてしまいそうで。勇気が出なくて。すみません。」
「僕のファン?」
「大変、おモテになってますから。」
「ま、まあね。」
若社長は、ニヤニヤしながら答えた。
「では、私達この辺で、失礼しますね。」
「もう、悠里ちゃん、上手いなあ。」
にこやかに微笑みながら、席を立つ。
「では、また、納品の際にお会い出来ますか?」
「そうだね。」
「またお会い出来るのを楽しみにしてます。」
「わかったよ。お疲れ様。」
悠里と浅井は頭を下げて店を後にした。