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素直になれなくて
第6章 暴露
悠里と田坂は、マンションまで来ると、エレベーターで5階へ上がる。
田坂は、悠里の手を取り、自分の部屋へ連れて行く。
「上がって?」
悠里を部屋にあるソファーへ座るよう促す。
田坂はキッチンで、ハーブティーを淹れている。
「いい香り……」
「そう?」
悠里の目の前に、ティーカップを置いた。

「悠里先輩…大事な話をしてもいい?」
「え、何……?」
悠里は、見た事もない真剣な表情の田坂を見て、ドキッとした。
田坂は悠里の隣に座り直し、そっと悠里の手を握りしめた。
「なんか……怖いよ。」
「悠里先輩……怒るかも。」
そう言って、田坂は反対の手に握りしめていた物を悠里の目の前に置いた。
「なんで……田坂くん……」
「悠里先輩のデスクにも、同じのあったね?」
滝島が長野に行く前に、外泊許可を貰って、2人で買った思い出のガラスのリンゴの置物。
悠里は、今も大切にデスクに飾っていた。
渡す時に、お互いの名前をマジックで書いて、プレゼントした。悠里のデスクにある物には、滝島の名前が書かれていた。
悠里は、目の前に置かれた置物を手に取ると、自分で書いた名前を見つける。
ゆっくりと田坂の顔を見る。
「長野に行って、一旦良くなったんだけど、暫くして両親が離婚して。その後また、再発してね。悠里の側に行けなかった。
怖くなったんだ……いつ死ぬか判らない。そんな自分は悠里の側にいる資格が無いような気がして。」
悠里の瞳には涙が溢れている。頬に大粒の涙が伝っている。
「意気地なしで、ごめんな……悠里。」
「滝島……なの……?」
悠里を優しい眼差しで見つめた。
「ああ、そうだよ。」
悠里は、目の前にいる田坂に腕を回して抱きついた。
「ヒロくん?……ヒロくん……ヒロくん……」
何度も名前を呼ばれ、田坂は悠里への愛おしさが溢れた。
「悠里……ごめんな……待たせて…ごめん……」
悠里を強く抱きしめた。もう離さない。誰にも渡さない。俺の、俺だけの悠里。

「入社してきた時、似てると思ったの……でも名前が違くて……」
「両親が離婚して、母親の旧姓に変わったんだ。」
「入社したのは、偶然?」
田坂は、悠里の頭を撫でて、優しく笑った。
「偶然じゃないよ?」
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