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飼育✻販売のお仕事
第8章 少女給餌〜りつき〜
* * * * * * *
りつきは、里子が餌を調理するのを見学していた。
ペットショップのオーナーと聞いて思い描くイメージと、里子はやはり違っていた。
白いだけではない、艶のあるもち肌は無臭の媚香が焚きこまれ、長いブロンドは優雅な線を描きながらまろやかな凹凸(おうとつ)の肢体に添う。どこか日本人離れした顔立ちは、それでいて親族に外来の人間がいる類とも違っている。凛とした声が耳に心地好い。
「盛りつけ、手伝って。メモはとれた?」
「はいっ」
りつきは筆記用具をポケットに仕舞って、里子の隣に場所を移した。
食糧を皿に盛るのは思いの外、難しかった。
キャベツの千切りはすぐに散らばる。ベーコンは思い通りに広げられない。目玉焼きは黄身が潰れる。
りつきが卒なくこなせたのは、結局、ロールパンとバターを置いてゆく作業だけだ。
餌は、里子が地下一階へ、りつきが地下二階へ運んでいくことになった。