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飼育✻販売のお仕事
第8章 少女給餌〜りつき〜



 ケージのロックの一括解除のパスワードを入力し、りつきは畳六畳ほどの個室の並んだ通路にワゴンを押し出す。

「おはようございます、餌です」

「おはよ」

「失礼します。……おはようございます」

「飯か?そこに置いといて」

「はいっ。……失礼します」


 ノックをして声をかけて、扉を開けて餌を置く。

 極めて一定の作業は、なるほど、いきなり一人で任されても務まる仕事だ。


 餌は五分と経たない内に、残り一皿となっていた。



「新入りさん」


 りつきが最後の扉のノブに手を伸ばしかけた時、真後ろから声がかかった。

「あ、えと、……萌奈さん?」


 昨日、まおが最初に躾の相手をしたメスだ。

 給餌が終わるまでケージの鍵は開いている。

 神妙とも愉悦ともつかない萌奈の目は、意味深長な色をしていた。


「ご用ですか」

「目玉焼き、激辛なんだけど」

「えっ」

「甘っ!なんだこれ?!」


 りつき達の真横の扉から、悪心に追い立てられるような悲鳴が上がった。

「一体、何の──」

「いらっしゃい」


 萌奈がりつきの腕を掴んだ。

 そうしてりつきはあれよあれよと言う内に、狭い洋室に引きずり込まれた。
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