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第2章 か

「私の話、聞いてますっ？」
「聞いてるよ。誰とも付き合う気はないんだろ？
付き合ってくれって言ってるわけじゃない」

そう言ってまた笑った。

「佐々木さんも食べろよ。商談が成立したら、出るぞ」

商談・・・
吉野さんの言葉が一瞬理解できなかった。

「で？どうする？って選択肢はほとんどないけどな」
「選択肢は・・・ほとんどないんですか？」
「ないだろ？今の仕事に満足してるんだろ？
クビになりたくなければ俺と寝るだろ？」

言っていることは鬼畜なくせに。
なんだかその笑顔に悪気はないように思えて、拍子抜けする。

「１つ確認させてください」
「なに？」

「変な性癖があるとか・・・言わないですよね？」

私の割と真剣な質問に吉野さんは大笑いした。

「あっはっはっは。何それ」

いえ。何それって。

「もし、この商談が成立して実際にセックスして。
いやな性癖だったらいやだな。と思って」

「ふ～ん。女がエッチじゃなくてセックスって言うの初めて聞いたかも」

なんて、吉野さんは論点が違うところで笑った。