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お坊っちゃまは兎で優等生は狼
第1章 1章
まだカーテンの閉められた薄暗い部屋、黒のロングスカートに白いエプロンを着けた衣服の少女は、音をたてないよう慎重に入る。
異性の寝室に入ったからといって泥棒や夜這いではない。
お屋敷でバイトをする16才のメイド、愛那だ。

「朝ですよ雫ぼっちゃま」
すやすやと幸せそうに眠る天使のような少年には似つかわしくないそそりたつソレを刺激しないよう上半身に股がる。

少年といえども一つだけ年下ではあるが高校生と変わらない背丈の男。
恥じらいもなく性行為を匂わせるような体勢、他人が見れば宜しくない。
ましてや御曹司とメイドである。
見つかれば即、解雇だ。

これは好きでやっているわけではなかった。

バイト初日からこの起こし方を命令されて三ヶ月ずっとこうだ。
もしお坊っちゃまが美形じゃなかったらすぐに辞めた筈なのに。

「…愛那いつもいってるだろたってるとき、ちゃんと触れって」
あくびまじりに耳を疑う言葉をいわれる。
「それは嫌です強要するならバイト辞めますから」
お金に困っているわけでもないしアソビ代がほしかっただけだし。このバイトを止めても特に困らない。
「いやだ!」
雫ぼっちゃまはだだっこみたいに、我が儘を言い出した。
腰に抱きつかれる。坊ちゃまが、顔をのぞきこんでる。
スカート越しに、下腹部に、顔をうめて、お尻をなでた。

「ぼっちゃ……どこ触って……!」
そのまま、ベッドに押し倒されて、両手をおさえつけられられた。

「は…興奮する……」
坊ちゃんは息をあらくして、顔を近づけた。
長いまつげ。白い肌。ほんときれいなカオしてる。

なんてかんがえてたら、あっというまに唇が重なった。
どこかぎこちなくて、柔らかい。
「坊ちゃん……」
それ以上なにもなくて、どうしたのかなって、待ってたら、坊ちゃんは、倒れこんできた。

「どうしたんですか坊ちゃん?」
坊ちゃんは、気を失ってた。
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