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第16章 ハートのエース

お兄ちゃんとヒロくんの怒鳴りあいにビックリしてポカンとみていた。
もう、１０年ぐらい２人を見てるけど
喧嘩をしたことなんか１度もなかったのに。

おっと。いけない。珍しくて仲裁するのを忘れてた。

ヒロくんの手を『大丈夫』とテーブルの下でぎゅっと握った。

「ナオ？」

「お兄ちゃん。私はヒロくんが好き」
「ナオ・・・」
「お兄ちゃんが心配してくれるのも分かるけど。
それでもやっぱりヒロくんが好き」
「ナオォ・・・」
「ヒロくんの良さは私よりお兄ちゃんの方が知ってるはずだよ」
「・・・・」
「お兄ちゃんに許してもらわないと。私、心からヒロくんと付き合えないよ」
「・・・・」

「お兄ちゃん、大好き」
「・・・・本当か？」
「うん。ヒロくんは彼氏だけど、私にとってお兄ちゃんはお兄ちゃん一人だもん」
「ナオ」
「世界でただ一人のお兄ちゃんだよ。
お願い。許して？」

「しょうがないな・・・
よし、ヒロ今日は俺がお祝いしてやる」

そういって、お兄ちゃんとヒロくんは２人で飲みに行こうと言う話になった。
「飲みに行くんだから、未成年のナオはダメだ」
「え？」
「ナオ、ちょっとマサとお祝いに行ってくる。いい子で待ってろよ」

ハァ・・・・
男って大学生になっても、単純なのね・・・・


ＥＮＤ＊＊＊＊