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サイドストーリー5
第17章 横浜ホールディング②
「森川さん。お久しぶりです。お二人はお仕事中?」
そう問いかけると、マスターは
「イヤ。もう終わったよ。森川さんもこの時間なら直帰でしょう?
一杯どうですか?」
そう勧められたので上野さんと二人で飲むことにした。
ゲンがいないのに上野さんと飲むのは初めてだ。

「最近、しずかが営業とやり合ったの聞きました?」
プッと笑って上野さんが話しだした。
へぇ・・・あいつプライド高そうなのに仕事のゴタゴタを彼女に話すんだ。

「凹んでただろ?」
あれは営業が悪い。
「そうですね。私は仕事のことは同じ会社じゃないので分かりませんけど。
その日は機嫌が悪かったですねぇ」

ああ。次の日に別人のように切り替えてシャッキリしてきたのは
この子のおかげか。

「だらしないと思った?」
笑いながらカマをかける。

「仕事ができる男は好きですけど・・・」
「・・・・」
「しずかは私に弱さをさらけ出してくれるから、可愛いですよ」
「ゲンが?」

俺はまた笑いだした。
あのイカツい男を可愛いなんて形容詞で呼ぶのは君ぐらいだよ。

「ご馳走様」

カチンとワイングラスを合わせたけど。
今聞いた話はゲンには教えてやらない。

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