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サイドストーリー5
第18章 王子の甘い罠②
すみれさんが3か月の日本出張で
フランスを発って1か月が過ぎたころ
こっちのアパルトマンにあるDVDを送ってほしいと朝一番で電話があった。

「日本で公開されていない映画だからこっちでは手に入らないのよ」

そういいながら、急がないからね。と言っていた。

「俺の声が聞きたいから」そう素直にいえば可愛いのに。

このDVDはこっちにいる時だって1回見てしまってあったから
本当に見たいわけじゃないんだろう。

「すみれさん、俺に電話するのに口実なんかいらないんだよ」
「なに・・・」
「寂しくなったからって言えばいい」
「寂しくないわよ」
「わざわざ俺が起きるフランス時間を計算して電話してるのに?」
「・・・・・」
「DVDが本当の理由ならメールでもいいだろ?」
「・・・・」

赤くなって下唇をかみしめるすみれさんが目に浮かぶ。

「でもありがとう」
「?」
「俺も寂しくて声が聞きたいところだった」

いじめるのはこれぐらいにしよう。

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