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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第7章 風邪なんてオレにうつしてさっさと治しちまえよ♡ver.渚
…部屋のなかに甘い匂いが充満する。
それから無事に暖かいルームウェアに着替えさせてもらって、彼の”なんでもきいてやる”に基づき、ホットミルクを入れてもらった。
「…なぁ、そのしっぽ…ゲホッ、ッ…邪魔じゃねぇ?」
マグカップの中身をスプーンでかき混ぜ冷ましてくれながら、それを待つアタシにそんなことを聞いてきた渚くん。
因みに彼が咽た原因は、とある甘党王子に伝授してもらった禁断のレシピを再現中につき、ミルクのなかに投入した恐ろしい量のメープルシロップのせいに違いない。
というか、選んで着せた張本人が今更なにを言い出すんだろうか。
どうやら彼はアタシに自ら袖を通したルームウェアのことを言っているらしい。
もこもこでフワフワのセットアップ。頭をすっぽり覆うフードには長い耳がはえていて、ショートパンツには可愛らしいしっぽがはえている。
「暖かいからいい。でも…」
「なんだよ、ウサギになった千隼チャン?」
カップを持ってベッドに腰を降ろした渚くんが、オシリにもこっ♡と存在するアタシのしっぽを面白そうにちょんっとつつく。
「…ウサギは寂しいと死んじゃうから、どこにも行かないでね…」
「………」
…熱のせいだ。
面と向かってこんなこと言っちゃうのなんて、熱のせい…
それに…
「…飲ま、せて?」
「千隼……?」
こんなこと言っちゃうのも…
「アタシ…ひとりじゃそれ、飲めないから…」
こんなこと言っちゃうのも…
「渚くんにこのまま…飲ませて欲しい…」
…絶対、熱のせいだから……。