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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第11章 クリスマスなんて…☆【渚】
無意識にそんなことを口走るも強がりにしか聞こえない。
相変わらず口を割るのは重たいため息と、思い出すのはこれを書き上げたと嬉しそうに見せてくれた時の彼女の笑い顔と今朝の泣き顔で…
千隼は、オレの仕事と自分を天秤にかけるようなことを言わないなんてことはわかっている。
だが…
「…どれだけ楽しみにしてたんだよ」
オレだって叶えてやりたいのはやまやまだ。
「…仕方ないだろ」
間近にせまるその日とアイツを想うと、今朝叩かれた頬がじわりと痛んで、
オレは堪らずグラスのバーボンを一気に喉の奥に呷り入れた。
すると焼けるようなその味わいが今日はやけに喉に染みて、それを洗い流すようにミネラルウォーターを口に含む。
…が、
「……なんて、どいつもこいつも生意気だな。せいぜい覚えてろよ」
なにかを吹っ切るようにデスクに置いてあった携帯電話に手を伸ばしたオレは、そこから探しだしたとある人物の名前を見つけだす。
そして迷わずその番号にコールを鳴らすと、蝋封の施された封筒を横目に軽く鼻をならす。
あんまりオレを見くびってくれるなよ…
そうしてオレは唇の端をそっと不敵に吊り上げた。