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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第13章 ちーちゃんの夏休み♡partⅣ♡
「オーナー?…社長ー?…もしもーし、渚さまー?」
「………」
「………魔王さまっ」
「…っ!?」
オレへの呼びかけの何度か目でそう呼ばれ、弾かれたように顔をあげる。するとそこには電話を片手に困り顔をする男の姿があった。
「…は、なんだそれ」
「もうそこまで聞こえてるなら電話、さっさと出ていただいてもいいです?さっきからずっと鳴りっぱなしなんで」
「………」
ホノルルのど真ん中にある紫堂グループが所有するリゾートホテルの執務室。
そんな場所でオーナーであるオレに面と向かってそんな口をきいて寄越すのは、こちらを任せている支配人の加賀美(カガミ)という男だった。
「…どうしてお前が出ない」
鳴っているはデスクの電話でも、オレの携帯電話でもない。差し出されているのはこの男の物である。
「面倒だ」
「まあまあ…」
「だったらお前が出ればいいだろう」
「そう仰らず…」
「………」
どうしてオレが他人のコールになんて出なければならないんだ。
いかにも高圧的な態度をとるオレに対し、臆することなくマイペースさを崩さない加賀美。有能でありながら、時々どこか喰えないところがある男だ。
例えば誰か例を挙げて言うなれば、本社の明智なんかとはまったく馬の合わないタイプだろう。毎日何かしらどうでもいい揉め事が起きそうである。