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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第4章 バレンタインの事情♡その③…渚…
葵の朝の活動力に半分呆れ、半分感心しながらも挨拶がわりにヤツの筋の通った鼻をつまむ。
そして、オレは反射的に開いた口のなかにコーヒーカップの中身を流し込んだ。
…刹那、リビングに響き渡る葵の悲鳴。
早い者勝ちだかなんだか知らねぇが…
「ゴフッ……ナ…ギ…ッ…」
「あ…!?さっさと仕事行け…」
オレから千隼を取り上げ、快眠を奪った挙げ句に朝からそんなヘラヘラしてるお前が悪い。
聖特製の激甘コーヒーで葵に報復を下したオレは、それから悶え苦しむ葵をさっさと仕事に追い出し、さらには千隼に見送ってもらえないとブーたれる聖と雅をもなだめるように送り出してやった。
はぁ…
うるせぇ邪魔者は消えた。
オフィスには夕方にでも顔を出せばいい。
これで今日は久々にゆっくりできる。
部屋に戻り、仕事関係の諸々の報告の電話を受けつつ、株式市場のチェックし終えたオレは、パソコンを閉じながらふとデスクの時計に目をとめる。
「………」
つーか…千隼のヤツ、まだ起きてこねぇな。
オレが今日休みでいることわかってるよな…
冷めたコーヒーの入ったカップの隣にあるデジタル時計はもう10時を示している。
わかってて起きてこねぇっつーか、起きてこれねぇとか…
…ッ、どんだけだよ、クソ葵!!
オレは朝から酷くやらかしてくれた葵に心底うんざりしながら、深く煙を吸い込んだタバコを灰皿に押し付ける。
そして自分を部屋をあとにすると、葵の部屋へ足を向けた。