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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第4章 バレンタインの事情♡その③…渚…
だけど今年は違うんだ。
無論そう思ってるのはオレだけではなくて…
そんな歪んだ境遇にあるオトコどもが全員、こいつからのその一個を欲しがっている。
外では恐怖のチョコレートハザードだ…
身内では誰が発端かは不明だか、いつのか間にかたった一個を巡ったチョコレート戦争の火蓋が切って落とされていた。
オレはお前になら殺されかけても、笑って許してやるから…
「だから、オレだけに作れ…」
「え……」
寝起きの少し掠れた声が冬の弱い日差しに溶けて、オレを見つめていた千隼の瞳が大きく揺れた。
「…な!?」
穏やかに表情を崩すと、指先で触れた頬がみるみる赤くなる。
しかし…
「……やだ。クレープ食べたい」
「ッ…、今じゃねぇよ!!」
何を思ったのか、どんな勘違いなのか…真顔でそう返してきた千隼に、オレの眉間に皺が寄った。
「なんだそのボケは、イタリアで流行ってんのか!?いつまでも寝ぼけてんじゃねぇよ」
「意味わかんない!!寝ぼけてるのはそっちでしょ」
「はあ!?」
「なによ!!」
心地のよい目覚めに千隼の間抜け面を見ても気分が良かったのは束の間のことだった…
こいつが天然なのか、オレの言葉が足らねぇのか、ベッドの上が瞬く間に戦場と化する。
空腹が拍車をかけて、千隼の機嫌はすぐに悪化した。
顔面に容赦なく飛んでくるクッション…
…地味にいてぇ。