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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第4章 バレンタインの事情♡その③…渚…
しかしここでオレまで本気になったらクレープどころか食事にでかけるどころじゃなくなる…
仕方なく全部当てられてやったところで、息を切らせた千隼を捕獲した。
「そうじゃねぇよ…」
「な…によ」
オレ的にあんまりこんなことは言いたくねぇけど、伝わってないなら仕方がない…
つーか、こいつ…
今月がバレンタインって頭にあんのかよ…
そもそもの根本的な部分を疑いながら、後ろから千隼を腕のなかに閉じ込めたオレ。
最初は暴れていたものの、首にそっと噛みついて黙らせた。
「お前…毎年2月になると楓にチョコレートケーキ贈ってただろ!?」
「あ、うん…」
千隼にわかりやすいように…
だけどキャラ的に不可能なことは不可能…
柄にもなくストレートにバレンタインにチョコレートを自分によこせとは間違っても言いたくないオレは、慎重に言葉を選んでいく。
「…それをさ」
…ぶっちゃけ、最初はチョコレートなんてどうでもよかった。
しかし、他の誰かがこいつからのチョコを貰うというとなれば話は別だ。
年甲斐もなくガキみてぇだが、他のヤツには譲れない。
だから…
「オレによこせよ…」
これでさすがの千隼も理解しただろう。
最悪ここまで言って伝わらないなら、千隼からのチョコは誰も手にすることはできなくなる。
そのときは、こいつ本人をオレが貰うからそれはそれでいい…
そんな思いを馳せていると、腕のなかで千隼がハッとしたような声をあげた。