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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第2章 バレンタインの事情♡その①…千隼…





「これ、お土産♡」

「……!!」


彼の甘い笑顔と一緒に差し出されたそれの、旬の甘酸っぱい香りが鼻をくすぐるから、なにが入ってるかなんて考えなくてもわかってしまう。

わくわくしながら袋から取り出せば案の定、いつぞやも買ってきてくれた立派な桐箱が登場しちゃうわけで、

開けてもいい?なんて一応聞くものの、彼の返事を待たずに蓋を開ければ、大粒で真っ赤な宝石のようなイチゴが顔を出した。


「っ…!!葵くん、ありがとう」

「ははっ。ホント嬉しそうな顔しちゃってー、あぁもう可愛いなぁ」


世間の女子の目線を独占してしまうような顔をほころばせ、大好きなイチゴを前に瞳をキラキラさせるアタシを抱き締める葵くん。

彼はうなじに残した後れ毛を綺麗な指に絡めては弄ぶ。今日の緩くまとめたおだんごヘアも今朝、彼がやってくれたものだ。


「ね…ちーちゃん」

「ん…」


葵くんは後ろから正面に手を回して、イチゴを一粒アタシの口へと運ぶ。真っ赤な果実をひと口含めば、甘酸っぱい味と香りが口いっぱいに広がる。

そんなところで再び重なる唇。

柔らかな感触に、ふくよかなイチゴの香りが鼻から抜けていく。


「…部屋、行こ」


そして耳元で囁かれるのはイチゴより甘い声で…


「オレ、イチゴよりちーちゃんが食べたくなっちゃった。…ダメ!?」

「っん…!!」


鼓膜を揺らした吐息混じりの甘い掠れ声に耳が熱くなる。




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