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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第2章 バレンタインの事情♡その①…千隼…




で、夕食の支度もできたし、時計を見ればもうそろそろ誰かが帰ってくるはず。

今日の一番乗りは誰かな…なんて考えてみる。


するとちょうどその時、玄関の扉が開閉する音がして…

ほらほら♪さっそく誰か帰ってきた。


「ちーちゃん、ただいま♡」


優しい声にリビングの扉が開いて、ソファーの背もたれ越しに爽やかな香りがその腕と一緒に降り注ぐ。

アタシを後ろから抱き締めて、寒かったと首筋に顔を埋める彼。

緩く纏めたアップヘアのせいで、唇や筋の通った鼻が首筋に触れてくすぐったい。


「お帰り、葵くん」


アタシはピカピカの腕時計が光る彼の腕に手を絡め、外気で冷えた彼の指先を暖めるように自分の手を重ねる。


「ただいま♡今日はオレが一番のり!?」

「…ん」


そうだよ、と頷こうとしたところで、返事ごと奪われる唇。

チュッと軽い音をたて、まんまと不意をついたところで、彼は容赦なく"必殺☆オンナ殺し"の異名を持つキラースマイルをアタシに向けてくる。

髪色を金髪からローライトとハイライトを入れて陰影をだしたスモーキーベージュに変えた葵くん。

やり過ぎ感のないライトブラストが入ったマッシュヘアを今日もオシャレにスタイリングしちゃってて、

あー、もう…

ズルいくらいカッコいい。


しかもそんなズルいオトコは、ポッと頬を赤らめるアタシに向かって都内の高級老舗フルーツショップの手提げ袋を差し出しちゃったりするわけで…





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