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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第6章 ちーちゃんの夏休み♡partⅡ♡
「千隼がやらかした…」
『…は!?』
最高に複雑な表情を浮かべたアタシの目の前で、最高に不機嫌極まりないオトコが携帯電話を片手にそう呟く。
それに加え電話のむこう側からは、流暢な英語でのビジネスライクなやり取りの合間を縫って聞き覚えのある声が返ってきていた。
空港を出たアタシたち。
それを待ち受けるように停まっていたのは、黒いリムジンでも白いリムジンでもなく、真っ赤なオープンタイプのスポーツカーだった。
そこに寄りかかるようにして、腕を組んだ日本人がひとり…
清涼感のある垢抜けたセットアップに目元を覆う大きめのサングラス。
無論、そこから溢れ出すとんでもないオーラに一目でそれが誰かなんてわからないわけでもなく…
─雅くん…
そう呼び掛けるよりも早くこちら側に気付いてくれた彼は、アタシの姿を見つけるなり穏やかに表情を崩してくれる。
そんな彼の手には広い鍔が目を引くリゾートハット。
彼の胸元に迎えられるや否やポスリとそれを頭に落とされた。
「…お疲れ、ちぃ。よくきたな」
「ううん、忙しいのにわざわざ来てくれてありがとう」
「ん、こっちこそ」
目の前で頬笑む鉄仮面じゃない雅くん。
彼は上手い具合に周りからアタシの顔を隠したところで、そっと唇を重ねてくる。
疲弊した身に染みるのは彼の無言の優しさだ。
しかし…
案の定、平和なやり取りはほんのここまで。