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他人の妻、親友の夫
第10章 自分の妻、自分の夫
海晴は果ててもしばらく肌を重ね合っていた。
そして名残惜しそうに理依から抜け、立ち上がる。
腰にぶら下がる薄ゴム袋はだらしなく垂れ下がり、ぶよぶよと膨らんでいた。
それが画面に近付いてきてアップになった瞬間、プツッと映像が途切れる。

テレビ画面には青一色の無機質な映像が映し出されていた。

海晴と理依が交わる映像が終わり、言葉を発する者は一人もいなかった。

海晴は無表情で意味のないテレビをじっと見ており、理依は途中からずっと俯いて表情すら分からない。
そして秋彦は小さく何度も頷いてから、妻である理依を見詰めた。
その表情は優しく、労るような慈愛すら感じられる。

秋彦が憐れにさえ感じ、そして夫があまりにも愚かしく思え、志步の感情が爆発した。

「馬鹿じゃないのっ、海晴っ!」

立ち上がって夫を罵る。

「ああ。馬鹿だよ……」

海晴は静かに答えた。
それが一層苛つかされた。
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