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他人の妻、親友の夫
第11章 享楽の果て
ドアを開けると志步と秋彦が文字通り飛び起きて振り返った。

「理依っ……」

夫は明らかに狼狽えていた。
理依は静かに歩み寄り、屈んで視線の高さを合わせる。

「理依さんっ、そのっ……わたしっ……すいませんっ」

後輩は気の毒になるほど縮こまって頭を下げてきた。

「ううん。ありがとう……」

二人は理依が家を出て行ったと信じて疑わなかったみたいだった。
だが実際にはドアの向こう側に潜み、全てを聞いていた。
声だけでなく、小さくドアを開いて身体を絡めあう姿も視た。

久しく挿入で達することがなかった夫が、親友の中に包まれたまま射精する。その瞬間も視ていた。

視られることにあれほど悦びを憶える自分が、視ることで胸を刻まれるほど苦しみを感じてしまった。
大切な人が奪われる。
身勝手だがそう思わずにはいられなかった。

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