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第11章 享楽の果て

「志步の優しさから一度離れなくっちゃ俺は、どんどん駄目になっていく気がするんだ」
「やだよ、そんなのっ……二人で一緒にいたって乗り越えられるよ」

力一杯その手を握り、引き戻そうとしていた。
海晴は静かに首を振り、その手を引っ込める。

「別れじゃなくて、一度距離を置くだけだ……ごめん、志步」

彼の大きな手で頬を覆われる。
もはや感情の堰が瓦解した志步は大きな声を上げて泣き崩れる。

こうして二組の夫婦が迷い込んだ非日常は幕を閉じた。