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他人の妻、親友の夫
第12章 エピローグ
天気予報によれば、今夜は雷雨になるらしい。
「今日は早く帰ってこれるから」
玄関先で振り返った秋彦は笑顔と靴べらを寄越しながらそう告げた。
「無理しなくていいよ。学会が近いんだから。雷くらい、平気ですから」
強がってそう言うと秋彦は「分かった」と言い残して出て行く。
それでもきっとあの人は遅くならずに帰ってくるんだろう。
擽ったいような嬉しさと共に、胸の奥がギュッと痛く縮まった。
苦しみの原因はもちろん後輩である志步とその夫海晴である。
あの日以来、二人とは会っていない。恐らく二度と会うことはないのではないかと思っていた。
自分たちのために振り回してしまったあの二人には詫びても詫びきれない想いがある。
「今日は早く帰ってこれるから」
玄関先で振り返った秋彦は笑顔と靴べらを寄越しながらそう告げた。
「無理しなくていいよ。学会が近いんだから。雷くらい、平気ですから」
強がってそう言うと秋彦は「分かった」と言い残して出て行く。
それでもきっとあの人は遅くならずに帰ってくるんだろう。
擽ったいような嬉しさと共に、胸の奥がギュッと痛く縮まった。
苦しみの原因はもちろん後輩である志步とその夫海晴である。
あの日以来、二人とは会っていない。恐らく二度と会うことはないのではないかと思っていた。
自分たちのために振り回してしまったあの二人には詫びても詫びきれない想いがある。