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他人の妻、親友の夫
第12章 エピローグ
不自然な労り合いを持ち寄った二人の暮らしはぎこちなく、緩やかに壊れていくような気がした。
しかしそれを止めるやり方が分からない。
すれ違っていることを認識しながら、それに気付いていないかのような鈍感な振りをして生きていく。
それはどこの家庭にもある不協和音なのだと、理依は決めつけた。
夫婦だから分かり合える訳ではない。
むしろ夫婦だから曝け出し合えない苦しさもある。口に出せない痛みを抱え、それでも労り合いながら寄り添って暮らしていく。それが夫婦というものなんだ。
洗濯物を干しながら、理依はそんなことを思いながら空を仰いだ。

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待ち合わせの喫茶店に着くと既に海晴はコーヒーを飲んでいた。
まだ志步には気付いていない。
その背中を見て、不意に彼女の胸は熱くなった。
別居をしてまだ二ヶ月だというのに、ずいぶん長い時間が経った気さえした。
油断すると涙が零れそうになった志步は、一度唇を噛んで落ち着きを取り戻してから再び歩き出す。
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