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よくある恋愛モノ 〜おあずけ〜
第3章 本当の自分を見せて
「ああ、一番上のお兄さんは大学院で頑張っているみたいだね」
相手の怒りの原因はそこかと勘違いしたのか、慌てて付け加えた
「……うちの兄に、素行に難がある人はいません」
陽菜乃はそう言い放つと、
「おばさん、ごめんなさい。今日のお礼はまた今度させて下さい。
お兄ちゃん、ここにいるとご迷惑みたいだからお暇しよ」
さっさと席を立ってしまった
「お邪魔しました」
皮肉たっぷりに挨拶をして父親の横を通り過ぎた陽菜乃
凪もその後をすぐに追う
「お前……あんな言い方しなくても……」
外に出ると、凪がボソッと呟いた
普段何倍も悪いことをしている自分だが、まさか妹にあんな一面があるとは思っていなかったのだ
“美和といいコイツといい……”
女ってすげぇな、と感心していた
「まさかあなたが問題を起こすなんて!」
陽菜乃は帰宅した母親に激しく叱咤された
二人を迎えに行った母親は、お礼を受け取ってもらうどころか美和の父親にかなり非難されたという
「私、何にも悪いことしてない。おじさんが失礼だったんだよ」