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第1章 俺を裏切るな！

「凪……辛いの？」

「別に、大したことない」



凪はそう言って起き上がるが、やはり少し体が重いといった感じだ



「今日はなんでこんな遅くなったんだ？ 学校が延びたか？ それともあの看護婦どもがなんか言ったのか？」



いつにも増して口の悪い凪



「看護婦どもって、そんな言い方ないでしょ。みんな心配してくれてるんだよ？」



美和はいつものように凪を諭す



「あんまりわがまま言って困らせちゃだめだよ」

「…るさい……」



凪は唸るように言った



「お前は俺の母親じゃない。彼女ならもっと可愛らしく振る舞え」

「はっ！？」



“いつもの二割り増しで不機嫌だと思ってたけど……”



これは度を越している

いつもなら軽く受け流すのに、なんなのその意味わからない逆ギレ。



「私、こんな子供の彼女になった覚えないけど」



ｶﾞｯ!



いきなり腕を掴まれ、美和は目を見開く



“い…痛いよ……”



凪は美和の発言に完全に逆上していた



「わがままはどっちだよ……っ」



……逆上？

そんなんじゃない



“何に怒ってるの？”



美和は久しぶりに凪を怖いと思った

筋がある程度通った怒りなら、それ以上の理で抑えられる

が、今の凪はただ苛立ちをぶつけているだけだ