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よくある恋愛モノ 〜おあずけ〜
第5章 貴女の全てを愛します
最初のアプローチからしてそうだった
でも、それは彼女の短所の一つだと−−
人間誰しも持つ、それ以上のものではないと−−
受け入れて、彼女がその弱さに走らないように優しく抱き留めてきた
つもり、だったのに−−−
「僕は、騙されていたわけですか……」
その日、ゆかりと二人きりになったタイミングで陸は自嘲気味に言い放った
「違う……違うのよ!」
ゆかりは必死で説明した
陸を本気で愛していたこと
それでも拭えない不安のこと
それを忘れようと、他の男と関係を持ったこと
「ごめんなさい……でも、身体だけよ。心は貴方にある。
信じて……お願い……」
陸は彼女の目をじっと見つめ−−−
フッと目を逸らした
「信じる信じないの問題じゃないんです……」
苦しそうに目を瞑る
「僕は貴女を不安にさせてしまった……僕に貴女を繋ぎとめる力はありません」
さようなら
もとの関係に戻りましょう
僕は研究に打ち込む貴女の姿が好きですよ−−−
バタン
そう言い残して振り返ることなく去って行った陸
“早かった……私の前を風のように通り過ぎていった”
たった二ヶ月の、けれど人生で最大の、幸せ−−−