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よくある恋愛モノ 〜おあずけ〜
第6章 そして甘い口づけを
「だってお兄ちゃんたちに話したら何しでかすかわかんないから……」
「どんだけ信用ないんだ俺は」
凪はため息をついて手を放すと、厳しい口調で続けた
「いいか、これはお前だけの問題じゃない。なんでも一人で抱え込もうとするな」
まだガキなんだからと締めくくってさっさと歩き出してしまう
「ねぇ、なんでここが分かったの?」
「お前鈍感だからな。簡単に尾行出来たぞ」
“かなり気をつけてたのに……”
陽菜乃はショックを受けた
「何聞かれたんだ」
凪は歩き続けたまま問い掛ける
「えと……謝られたり、お兄ちゃんたちの様子とか……」
「チッ…まだ何かするつもりか……一応陸にも言っとけよ」
ふと陽菜乃が立ち止まり、凪も歩みを止めた
「それは……やめたほうがいいと思う」
「お前また……」
「いやこれは本当に! むしろあの二人には私たちが立ち入っちゃいけない何かがある気がするから……」
凪は少し黙ると、舌打ちをして言った
「陸の事情なんか興味ねぇ……全部お前に任せる」
“お兄ちゃん……”
物分かり良くなったね、と心の中で呟くが、本人には言わない
「りょーかい!」
陽菜乃は明るく返事をして走り出した
兄に、心の内を悟られないように。