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はつこい
第1章 読み切り短編

いわゆるタブーというものがなかったのは、あたし達がセックスフレンドという形で出会ったからだろう。
出会い系で知り合った何人かの男のひとたち。食事だけしてバイバイしたひともいれば、一度だけ寝たひともいた。
でも彼のときは。
彼のときはちがかった。
相性が良かったんだと思うけど。気取ったレストランに連れて行かれるでもなく、高い服を買ってもらったりするわけでもなく。何度かのメール交換の後、最初に会ったその場でふたりとも、火がついていた。何気ない顔してラテを飲みながら、でも、抑え切れないほどドキドキして、興奮してた。
あたしも彼も。
一番最初の時のセックスは忘れられない。
都心から少し離れた場所のラブホテルだったけど、そんなことさえもどうでもよかった。
ふたりとも緊張して、あたし達がいちばん充実していた時のあけすけでマニアックなセックスからは考えられないほど初心(うぶ)だったけれど。
でも肌がぴったりと吸いつき合って、理性もどこかに飛んじゃって。
彼ってば、挿入して1分持たなかった。
でも、あたしも笑えない。
入れられる前に、いじられてるだけでぷしゃーって、なんか出ちゃったし。。
なんかもう、ふたりともプチ・パニックみたいな感じだった。
なんだかわかんないけど、それはものすごい快感だった。とても素敵なセックスだった。こんなに気持ちのいいセックスをするひとがいるんだって、あたしは目を見開かされる気がした。
共通の趣味を持った友人として、あたしたちは世間には内緒で何度もセックスした。
例えばテニスや草野球の仲間は、同じスポーツの趣味を持った友達になりうるのだけど、どうしてセックスの友だちはオープンに語れないのだろう?
あたしの女友だちに彼を紹介したこともないし、あたしが付き合いで合コンに行くときはいつもフリーって自己紹介した。彼と会うときはいつも、普段の行きつけの街とは違うとこだったし。
でもそうやって、日常から切り離されたあたし達のセックスは、夢のように素晴らしかった。
そもそもセックス自体がそういう日常とは違う要素を多分に持ってるせいだとも思うけど。
なにものにも捉われず、ただ純粋に互いの身体の秘密を探りあうように、いくつものベッドの中で逝き続けた。

