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深いノルウェイの森の香り
第1章 読み切り短編
そのとき私はいつも、
深いノルウェイの森の香りのなかにいる
白いもやがかかって
あまり難しいことは考えられなくなる
あたまがぼんやりして
ただ、
あなたのことばかりが
脳裏を行きかう
緑の濃い、深いノルウェイの森のなかでは。
白い霧の向こうから、
ときどき、
何か、獣のうめき声のようなものが聞こえたり、
私自身、めまいがするように
くらくらすることがあるけれど、
すべてを消し去る胸の高まりが
わたしをどこか素敵な場所へ導いてゆく
つまらない日常を超えた、
どこか、
本当に素敵な場所へ―――
わたしは夢中になって、
すべてを忘れ
その森の香りを胸いっぱいに吸い込む
あなたの香り。
深い北欧の森のような、
あなたの香り。
あなたにフェラチオするときはいつも、
そんな風に
深いノルウェイの森の奥にいる気がするのよ
ほんとうに。