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その恋受け取ります
第1章 まだあきらめて・・ないけど・・
「岩倉~!そんな無理しなくていいよ、もう40なんだから、若いもんに任せな」
まだ40じゃないもん、ぎり30代だよ・・
10キロ近い重さの段ボールを、蟹股で踏ん張りながら持ち上げると、
無様なカニのように横スリ足でほんの2メートルの距離を移動する。
未和はすでに積んである段ボール箱の上に、
振動を与えないようにそっと置いた。
「またぁ、そうやって無理するとぎっくり腰とかなるんだよ、
まだ若いと思ってんだろうけど、体は確実に衰えてんだって!」
先輩の佳織にバシッと背中をたたかれ、思わずエビぞりになって声をあげた。
「痛ったいっす!もう・・お言葉を返すようですけどねぇ、早川さん、
私まだ39ですから!当然若いと思ってますけどそれが何か?」
物流部の5つ先輩、早川佳織にむかって鼻を膨らませて抗議した。
「あ~そうですか!そう言っててもあっという間に歳とるんだよ!
39なんてもう40と同じじゃん、なにが違うのよ?」
「違いますよ!30代と40代、大きな違いじゃないですかぁ!」
「でも30代のアンタも40代のアタシも、独りもんじゃん?さて何が違うのかな?」
ヘラヘラと笑い、踊るように体を揺らしながら去っていく佳織の後姿を、
口をへの字にまげて見つめていた。