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その恋受け取ります
第6章 今度は恋の事件・・勃発!
その言葉を耳にしてから、周りの一切の音が消えてなくなった。
周りのおしゃべりする声も、風に揺れるオリーブの葉の音も、
眼下を走る江ノ電の音も。
未和の耳の中から、音が消えた・・
「あの・・今・・なにか言いました?」
聞えた言葉はしっかりと頭にこびりついているのに、
その言葉を聞き返したら消えてなくなってしまうんじゃないかって思えて、
未和は心の中に押し込んだ。
「も一度言うからね、しっかり聞いていて。
岩倉さんに一目惚れした、聞こえた?」
「き、聞こえたけど・・なんで?なんで私なの?私なんか・・そんな・・」
イケメンなんか嫌いだった。
イケメンなんか信用できなかった。
イケメンなんか、私を女として見ていない・・ずっとそう思ってきた。
ずっと避けてきた。
友達以上になれないのに一緒にいれば心はやっぱり傾いていく。
結ばれないのに。
もうそんなみじめな想いはしたくない。
分不相応な相手には近寄らない・・
やっと、心穏やかに恋をあきらめてきたのに。
それが・・それが・・私に?イケメンが?
ショックが大きすぎたのか、逆に未和を饒舌にした。
イケメン恐怖症の詳細を、悠月に話し出したのだ。