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愛し愛され
第7章 夕暮れのくちづけ

と、不意に何かが宙を浮いているに気づいた。
握りこぶしほどの大きさの、透明な。
シャボン玉だ。
風に乗って、あっという間に手の届かないところへ運ばれてゆく。
するとまた、次々に、シャボン玉が飛んでくる。
風に吹かれて、七色のオイル模様を表面に流転させながら、いくつもの大きさのシャボン玉で、博人のまわりの空間が満たされる。
夕日の光線を反射する、金色の海を背景に、七色のシャボン玉が空間を圧倒する。そしてあっという間に、風に吹き流されてゆく。
あぁ、と彼は思う。
いま、自分は振られてゆくのだ、と直感した。
この美しい人をいま、失ってゆくのだ、と理解した。
彼のとなりで、シャボン玉を吹きながら、さほ子はほろりと、一粒の涙をこぼしていた。
その涙にも、夕暮れの光線は等しくオレンジ色の光を投げかけた。

