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猫好き男子と大人な部長
第5章 優しい部長
「私はもう少しご一緒させていただきます。元はといえば、私がなすべき仕事ですから」

「石橋君は責任感も強いね。倉本君も、友人思いで良い人だし、私は本当に良い部下に恵まれているよ」

 瑞穂がまんざらでもない様子で口を挟む。

「部長~、やけに私たちを持ち上げますね~。私はほとんど役に立たず申し訳ないです。ではでは、私はこの辺で。架恋、また明日ね~」

 瑞穂はそう言うと、架恋に向かって、意味ありげなウインクをする。

 架恋には、「ああ、部長と二人っきりのチャンスだから頑張って、って意味だろうな」と大体分かった。

 なかなか話すタイミングが来なかったせいで、まだ瑞穂にも、修馬と交際していることは言ってなかったのだ。

 高倉は気にする様子もなく、笑顔で瑞穂に手を振り「ではまた明日」と言った。

 架恋も「また明日」と言って手を振る。

 そして、瑞穂は資料室を出ていった。

 瑞穂が開けたドア越しに、廊下の窓がちらりと見えたが、雨はいっそう強くなっているようだ。




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