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イカせ屋稼業
第10章 〜番外編〜
うちの学園のとはまた違う、
大きなトレーニングセンター。
白丘高校の正門を潜って、通路を進みトレーニングセンターの階段を上がる。
――日曜日。
緋路のバスケの試合の応援のため、
裕希と待ち合わせて来た。
2階の観覧席に座る。
1階では早くも他校の選手たちがウォーミングアップをしながら、
ボールをついていた。
スタジアムのような造り。
「じゃ〜〜〜〜ん!
音がダメだからコレ作ってきた♪♪」
裕希がバッグからうちわを取り出す。
「アイドルのコンサートか(苦笑)」
「たっくも持てよ?
沢山あったほうが良いと思って作って来たんだ〜♪」
うちわが5枚もある。
ご丁寧に、
『緋路』と赤色の文字で書いている。
『絶対勝つ!』『HERO』(ヒロとかけたらしい…)
など文字が書いてあった。
「裕希、お前いいやつだよね」
「ん?応援があったほーが、
緋路も俄然やる気出るだろ?ギターはダメだけど、これ」そう言ってごそごそとバッグから何やら取り出す。
「………マラカス?」
拓矢の手に渡される。
「これなら控えめだろー?音が0じゃ盛り上がんないよ」
さすがギター歴5年の裕希だ。
「あ!先輩たち」
女子の声がして、
振り返る。
凪が笑いながら立っていた。
友達らしき3人も。
ロングTシャツにショートパンツ。
前髪をピンで留めている。
デニム生地のリュックを背負っていた。
「こんにちはっ」
凪を含めた4人が、
俺たちの横の席に座った。
「凪ちゃん、緋路の勇姿見にくるなんて一途だなぁ」「そんなことないですよー」
「カレシを見たいだけだよね?
凪は」
「すごーい、マラカスと団扇だぁ(笑)」
俺以外の5人は盛り上がっている。
すると……
「あれぇ?
曽我くんと裕希じゃん!」
また後方から女子の声がした。
裕希が「あれー?
岩瀬【イワセ】も応援?」と話す。