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イカせ屋稼業
第16章 そのGO
______『はい!
よろしくお願いします!』
tellを切った。
『どう?』
拓矢が心配そうに窺う。
『OKだってさ!やりぃ!』
金井翔汰はネクタイを締め直す。
『行くぞ、真名【まな】。
売り込みだ』
『はいっ!』
19歳の現役女子大生が緊張しながら拓矢に『行ってきます』と頭を下げた。
『あんま気張んないよーにね』
拓矢が声をかける。
白い洋館の1階。
改装し、
事務所にしたのが2年前。
金井翔汰は今年30歳になる。
〔ミントリア〕の暖簾分けというべきか。
独立し、
拓矢と事務所を設立した。〔ポップミント〕というセクシー俳優事務所だ。
代表は金井翔汰。
社員3名を雇い、
拓矢は専ら経理と交渉役。
弱小事務所である。
桜井真名【さくらいまな】は借金を抱えている。
母子家庭で母親が事故で半身不随になり、
未だ中学生の弟がいる。
奨学金の返済も早く済ませたいとのこと。
翔汰は、
大金が必要で出演したいと志願する女性を優先的にデビューさせている。もちろん、AV女優としてトップを目指したいという女性も応援していた。
無理やり出演させても意味がない。
儲け主義に偏りすぎると、事務所から女優が離れていってしまう。
〔出演女優に優しい事務所〕作りを目指した。
_______拓矢は、
翔汰がタレントを連れて事務所を出て行くと『自販機行ってくるね、5分で戻る』
と社員に声をかけた。
近くの自販機まで走るとポカリを数本買った。