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君をこんなに愛してる
第10章 それでも君を……
まだ封切り前のそれは
誰にも中身を見られていない。
「もし君が真実を知った時に…」
「──…」
「…渡して欲しいと」
その言葉とともに手の上に置かれた手紙。
わたしは彼に背を向けて、その手紙を裏返した。
《 貴峰 絢人 》
差出人の名前に目を通したわたしは、ざわざわと騒ぎだす胸を抑えて手紙を持っていた。
──早く、読んで
──駄目だ、読んではいけない
わたしの中で二つの声が叫んでいる。
中を見るのはやっぱり怖くて
封筒を開ける指が震えて仕方がないけれど
でも……
「…絢人…さん…?」
わたしは便箋を取り出して、そこにつづられた文字を読んでしまった。
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