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君をこんなに愛してる
第10章 それでも君を……
わたしには微笑む余裕なんてなかった。
「貴方と話をしなきゃいけないの。でもそれをわかっていても…っ 何を話すべきかわからなくて」
「…どうでしょう。僕にもわからない」
「……っ」
扉を後ろ手に閉めて、彼はつかつかと歩いてきた。
「──…けれどその代わり、君に渡さなければならないものがあります」
それを持ってきたのだと
そう言った彼は懐から白い封筒を取り出した。
──手紙だ。
「それ…さっきの」
わたしが勝手に読んで、彼に投げつけた手紙。
目の前にいる人は絢人さんではないのだと、その真実を突き付けてきた手紙。
「もう、読みたくない…」
「君がさっき読んだものとは違います」
「え…?」
受け取ろうとしないわたしに構わず
彼はそれを差し出した。
「これは君宛てに、僕のところまで届けられた」
差し出された…その封筒の表には
《 栞へ 》
確かにわたしの名前があった。