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君をこんなに愛してる
第10章 それでも君を……
「栞にはわかってもらえないだろうし、むしろ気味が悪いと嫌悪されても仕方がない」
貴方が精一杯、冷静に振る舞おうとしているのが伝わってきた。
「…それでもこの想いはどうしようもないのです。消えることがない」
だって…頭の上から聞こえる声が、必死に震えを抑えようとしているから。
「十一年前、母が家に連れてきた君は、とても可愛らしい女の子で……」
まるで本物の絢人さんみたいに、貴方は昔を回想する──。
学校へ通う制服姿の君も
家の廊下ですれ違うエプロン姿の君も
僕は確かに覚えている。
君が甲斐甲斐しく世話をした植物たちが、庭を…家の中を…どれほど明るくしてくれていたか
僕はよく知っている。
礼儀正しくて淑やかで
そんな君に、僕は好意を懐いていた。