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君をこんなに愛してる
第10章 それでも君を……
「恨んでいません」
「…本当に?」
「ええ。本当に」
清々しささえ感じる表情で
その答えを口にする──。
「恨もうとした事は何度かあります。
…でもできなかった。
僕は、人を憎むような人間ではなかったから」
僕とは、つまり…貴峰 絢人、彼のこと。
「彼は本当に誠実な男でした。テレビで殺人事件のニュースを見ては酷く心を痛め、花の写真を見ては落ち着かせました。
外から聞こえる鳥のさえずりに耳を傾けるような…常に心に余裕のある人間でした。かと思えば学問を面倒だと後回しにせず、どうやったら社会に貢献できるかと、自分にだけ厳しい男でした」
それを話す貴方の口調は、まるで旧友のようだ。
「──…それが僕には、痛いほどわかるから」
でも実際は旧友なんかじゃない。
貴方は《 貴峰 絢人 》で
絢人さんは、貴方の中にいる──。